技術開発センター群
技術開発センター群は、地域の産業力向上につながる有望な産業技術シーズ、または地域に著しく貢献する分野の技術開発を担う時限的な研究組織です。国際環境工学部の教員による提案に基づき設置され、3年程度で成果を出していくものです。
低炭素コンクリート技術研究センター(2020年度設置)
Research and Development Center for Low Carbon Concrete
本技術研究センターでは、木質バイオマス発電を含む火力発電施設から排出される発電由来燃焼灰から未燃炭素を除去して高品位化するパイロットプラントを開発し、そこから製造された改質燃焼灰を使用して、従来のコンクリートよりCO2排出量を80%低減する低炭素コンクリートを外部研究機関(海外含む)と共同で研究開発することを目的としています。
特に北九州市フライアッシュ利活用研究会を中心に北九州市内企業との連携を相互に構築し、本技術開発により低炭素コンクリートを北九州市内公共工事へ適用して社会実装を目指します。さらに、今後、アジア地域では、コンクリート使用量の増大が予想されるので、本技術をアジア地域へ技術移転し世界レベルでCO2排出量の抑制に貢献したいと考えています。
- 木質バイオマス燃焼灰のリサイクル用途の類型化
- 発電由来燃焼灰改質パイロットプラントの開発
- 低炭素コンクリートの構造特性評価
- 北九州市内での低炭素コンクリートの実用化FS
- 改質技術のアジア地区移転の可能性調査
- コンクリート
- ジオポリマー
- 発電由来燃焼灰
- 浮遊選鉱法
- バイオマス発電
シニアライフ技術開発センター(2020年度設置)
Research and Development Center for Ageing Societies
北九州市では高齢者の増加や、近年の感染症の蔓延で、病院のベッド数や医療従事者の不足が深刻な問題となっています。このため自宅での介助や在宅医療の充実が急務です。しかし病院で行われる臨床検査や口腔検査、食事の衛生管理などを、介助の現場で行うことは設備や技術の面から困難です。そこでこれらの生物検査を、「いつでも」「どこでも」「誰でも」測定できる携帯型センサの実用化が、高度在宅医療を支える鍵となっています。
シニアライフ技術開発センターは、このような社会問題を工学技術によって早急に解決するために新設されました。国際環境工学部では情報技術やバイオテクノロジーの先端研究から、これを具現化するモノづくりや、さらに社会問題を理工学的に解明して政策提案を行う社会工学まで、幅広い専門の教員が活躍しています。当センターでは分野を横断した知識や技術の融合で、一丸となって簡易診断技術の開発と社会実装に取り組みます。
例えば検査対象の中で食中毒検査については、食品を24時間培養してから菌数を数える方法が現状です。当センターではこれまでに、スマートフォンで測定ができるセンサ端末器を開発しています。開発の第1段階では、この技術を大腸菌センサへ転用して、食品業界での実用化を目指します。次のフェーズでは微生物やウィルスなどの感染症の簡易診断に取り組みます。
- 在宅医療
- リモート診断
- 食中毒検査
- 感染症検査
ナッジ社会実装研究センター(2019年度設置)
Research Center for Nudge Social Implementation
本センターでは、ビッグデータ時代を背景に、数理的アプローチを社会実装のデザインに取り入れる要素技術と社会実装の研究開発を行います。数理的アプローチによる社会実装デザインは、(1)人や社会、環境について洞察し、(2)個を認識して状態とありようを把握し、(3)それを踏まえて全体の調和を図ることで行います。それらの要素技術を研究開発し、社会実装を行います。
個別の事情や全体の複雑性を一顧することなく、杓子定規に単純化して全体最適化を行う従来のアプローチに比べ、人や社会、環境を「調和」することを目指すことが本センターの大きな特徴です。
研究の方向は、究極的には、AIが社会活動の調和を図る方向性であり、国際目標のSDGsの目指すところを一言で表した「人類全体の幸福」にとって重要です。この方向性は、ナッジ「nudge」が掲げる「人が賢い選択をするためにシステムがそっと促す」ことを含むため、センター研究期間の目標として「ナッジ社会実装」を掲げ、センター名としています。
- 機械学習
- 最適化
- アルゴリズム
- 認知心理学
- 環境科学
国際光合成産業化研究センター(2015年度設置)
Research Center for International Photosynthesis Industrialization
天然、人工及びハイブリッド型の新規光合成要素技術の開発について、植物や藻類が行う光合成の利用及び光合成を模倣した人工の明反応・暗反応システム、IC制御高輝度LED技術やロボティクス技術等を活用し、基礎研究から実用化研究までを行います。地域企業、国内・海外の研究機関及び学会等との連携によりコンソーシアムを形成して技術開発を進め、新たな産業の創出を目指します。
本センターでは、植物や藻類が行う光合成の利用および光合成を模倣した人工の明反応・暗反応システム、IC制御高輝度LED技術やロボティクス技術等を活用し、以下の技術の開発を進めます。
- 新規CO₂回収技術の開発(低炭素化)
- 人工光合成技術とバイオマスのエネルギー変換を融合した新規エネルギー生産技術の開発(再生可能エネルギー)
- 光合成の人工制御による食料増産技術の開発(新規の農業)
- 生態系のモニタリング技術や大規模施設内での環境制御技術(環境の管理・制御・保全)
- 光合成
- バイオオイル
- 植物工場
- 光輝度LED
- CO₂回収